現在、世界で最も多くロボットが製造、使用され、またその開発も盛んな国が日本である。2004年の統計によれば、世界の産業ロボット設置台数約82万台の内、日本には45%弱の約36万台が設置され、またそのほぼ半数40万台が日本で作られた産業ロボットであるという。
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| トヨタ・パートナーロボット(トヨタ自動車株式会社) |
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かつて、工場の製造現場に導入された産業ロボットに、担当者らがアイドルの写真を貼り名前で呼び合っていたのは有名な逸話であるが、それは、日本の社会がロボットというものに親しみを感じ、違和感のないものとして受け入れる風土が存在しているからと考えられる。
日本のロボットといえば「鉄腕アトム」が有名であるが、欧米ではロボットに人間や動物のような生物的イメージを求めることは、宗教上のこともあって、違和感を感じることのようである。
昨年の愛知万博でも多くのロボット達が、訪れた観客の人気をさらっていたが、アトムのように人間とのコミュニケーションをとるロボット達は、日本独自のものと言えよう。
そして、そのアトムを生む風土はどの様に育まれてきたのであろうか。 |
愛知万博では、過去の「からくり」もまた、大きな人気を集めていた。中部地域に残る山車からくりは、江戸時代から今日まで途切れることなく盛んに行われてきた。中部だけにかぎらず、何百年の長い「からくり」の伝統が、実は日本人の心の中に、人間のように振る舞う人形達に愛情を感じることのできる風土を育んできたのである。また、四季に変化する豊かな自然に恵まれた日本では、虫の音さえ心地よいものとする感性を育ててきた。
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茶運び人形 (九代目玉屋庄兵衛作、国立科学博物館蔵) |
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日本には欧米とは異なる自然の認識力、自然への深い探求のまなざしがある。日本のからくりや現代のアニメやロボットには、人、動物、鳥、昆虫、魚、そして自然さえもモチーフにしたものが、数多くある。人とロボット、そして自然との関係や未来は、このような無意識のうちに行われるコミュニケーションがあって、初めて、より良いものへと形作られて行くものであろう。
明治以降、わずか130年ほどで世界第2位の経済大国、主要工業先進国という国際的地位を得た日本であるが、21世紀を迎え、さらなる飛躍のための指針が求められている。
本年度から実施される第3期科学技術基本計画では「資源に乏しい日本が人類社会の中で名誉ある地位を占めていくことは決して容易なことではない。日本の未来を切り拓く途は、独自の優れた科学技術を築くことにかかっている。」とし、また社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術を目指し、説明責任と戦略性を一層強化するとしている。
からくりからロボットのような、過去から現在、そして未来へと繋げてゆけるものは、間違いなく、他には追随できない日本独自の科学技術分野として伸ばすべきであり、伸ばせる分野なのである。
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【段返り人形】
内部に仕込まれた水銀が移動することによる重心の変化で身体が回転する仕組み。 |

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